NFTの永続性問題と自分のNFTをIPFS上で確認をする方法
皆さん、こんにちは。2022年も早くもひと月が過ぎようとしており、クリプトもいよいよ2月からの上昇に向けての準備段階に入っているように感じます。BITCOINのLS比率データでも、ショートポジションは減少を続けており、取り組みがロングへと移行し始めている事を示しています。
又、オンチェーンデータでも、大口のアドレスへ取引所からの還流が続いていますので、ここからは少し期待をしていいかなと思います。さて、調整が続く、金融マーケット全体の中でも、とりわけNFTだけは力強く成長を続け、相変わらずの盛況ぶりを維持しています。ガス代高騰が深刻な問題になっているイーサリアムが下げ渋っているのも、NFT需要による買い支えが背景にあります。イーサリアム収益におけるNFTが占める割合は、DEFIやDAPPSの合計を上回り一説には7割を占めると言われている程で、NFTの盛況ぶりを示しています。
しかしながら、永続性のあるNFTという評判とは裏腹に、その内実は非常に危うく、今月もOPEN SEAが設立した業界団体NFT Security Groupの発表があり、NFTのセキュリティを強化する事を趣旨としているようですが、OpenSeaのような中央集権的なマーケットが中心となってコンソーシアムという閉鎖的な形でリスク管理についての規制や開発を進める事には疑問を抱きます。
分散化による安全性の担保と永続性を保証する筈が、現実は中央集権的システムによる管理が中心となり、更にコンソーシアム化により、この傾向を更に強める懸念は拭えません。
幸い、現在では、こうした中央集権化によるストレージ管理の問題を解決すべく、ARWEAVEといったPERMAWEBによる分散化オンチェーンストレージなどが生まれて来ている事は注目に値するかと思います。
IPFSは、分散型によりデータをP2Pで共有するネットワークですが、ストレージに対してインセンティブを与え難い問題を抱えています。結果、IPFSでは1つのデータのに対するコピーは1つしか保存されません。また、ネットワークに依存するスタイルなので、長期的なデータのバックアップに対するインセンティブも脆弱です。これは、ちょっとしたミスでデータが失われる事を意味し、誰もデータをホストしなければ消滅する危険性を生みだします。
Permawebは、所謂ネットワークに寄らずにデータの永続性を図るプロトコルで、IPFSにファイルを保存し、データはArweaveがホストしながら、IPFSにファイルとデータをピン止めしてしまう事でオンチェーンのように永続的な保存を可能にする仕組みです。
この辺りについては、以下のサイトが詳しいので、是非目を通してみてください。
Arweave+IPFS: 惑星間ファイルシステムのための永続性 - ARWEAVE JP (hateblo.jp)
本ブログでは、NFTのIPFSアドレスによる確認の仕方を紹介しますが、これは言ってみれば、自分のNFTデータがちゃんとIPFS上でホストされているかを定期的に確認をする方法でもあります。もちろん、問題が起こりデータが消えてしまった場合の対応をOpeSea側がどのように担保しているかの言及はありません。
本来であれば、そんなことをしなくても、データがオンチェーンで保存されていれば、不安も解消するわけですが、中央集権型のマーケットでは、常に倫理が利益を優先する問題を抱えています。そもそも、こうした情報はマーケット運営側が真っ先に開示をしておくべきものです。わざわざ、複雑な知識を必要とするかのように見せかけ、投資家から遠ざけるように隠ぺいする体質は、業界の発展を阻害します。
このような基本的な情報を開示せずに、複雑なテクノロジーで問題の本質を見え難くする事は、デリバティブでも公然と行われている金融業界の負の一面です。こうした弊害は、真の分散化の利点を阻害し、一般投資家に不利益をもたらす事に疑問の余地はありません。
やっていただくと分かりますが、IPFSのデータを確認する事は、それほど難しくはありませんが、何も知識のない方が確認するには、UIからは程遠い状態です。問題は、世の無知を良い事に、例えば、有料のIPFSホストサービスである「FileCoin Pinning Services」といった、無駄に複雑な手段により、より中央集権的な管理を強めていく姿勢に問題の根が存在しているように感じます。
さて、この問題を理解した上で、IPFS上にある自分のNFTを確認する方法を今回はご紹介です。ご自身のNFTが確かに存在している事を、この機会に是非確認をしてみてください。
自分のNFTをIPFS上で確認する方法
それでは、解説をします。今回は例として私のお気に入りNFTの一つであるOpenSea上のJunkYard Dog #5222をベースに説明していきます。
ステップ1: 当該NFTのコントラクトアドレス(画像の赤丸部分)をクリックします。
ステップ2: イーサスキャンのページが開くので、コントラクトをクリックします
ステップ3: Contract → Read Contractをクリックします。
ステップ4: TOKEN URIという項目に、トークンID(今回は5222)を入力し「QUERY」をクリック、IPFSアドレスを取得します。
ステップ5: 表示されたアドレスをコピーして開きます。
https://api.junkyarddogs.io/dogs?tokenId=5222
注意:ここに「ipfs://******」と表示される場合は、ipfs://以降のアドレス部分だけをコピーし、ipfs.io/ipfs/(コピーしたアドレス)に置き換えて開いてください。
ステップ6: NFTデータの保管されているアドレスをコピーします
メタデータが表示されますので、その中でイメージデータのアドレスをコピーします。
今回の例では、以下の部分ですね↓
QmVChXBv54wgWc78bWMpzyyK7MVXn2e8FRqZu3XABGa45a
ステップ7: ipfs.io/ipfs/(コピーしたアドレス) を入力し、表示する
今回の例では、以下となります。
ipfs.io/ipfs/QmVChXBv54wgWc78bWMpzyyK7MVXn2e8FRqZu3XABGa45a
完了です。
IPFSは、分散型のファイルシステムとして中心的なトラッカーなしに、ブロックチェーンを維持するノードがホストするDHT(分散型ハッシュテーブル)のみが存在するシステムです。コンテンツID(CID)を設定する事で、ファイルを分散ノードにしています。
IPFSは、OPENSEA上にホストされたWEBサーバに比べれば、安全性は高いと考えられますが、FILECOINのように、ホストとして、適当なウェブファイルストレージを使用しているという点では、脆弱である事に変わりがありません。保管先のファイルノードが消滅したり、ファイルコインに問題が起これば、データが消える脆弱性はそのままです。このように、中央集権的なボルトネックが存在している点には、十分配慮が必要です。
本来であれば、オンチェーンにて保管する事が理想ですが、それが難しい場合は、自らのNFTデータは自らのノードでホストされるべきで、それが難しいのであれば、こうしてIPFSのアドレスを公開すべきだと考えます。今後、業界にて更に閉鎖的な状況の中、恣意的な規制を取り入れる事で、市場の成長が阻害されてしまわない事を祈るばかりです。